トラネキサム酸は喉の腫れや痛みに効果が高く、各種の風邪薬に配合されている成分です。
風邪薬として使用が開始されてから長い歴史があり、今日でも市販薬や処方薬において広く使用されています。
トラネキサム酸がとりわけ風邪による喉の痛みなどの諸症状を緩和させるメカニズムや、副作用その他の注意を払うべき事項について、考えて見ましょう。

トラネキサム酸は抗プラスミン剤という異名を持ちます。
読んで字の如く「プラスミン」に抗う効果を持つと言う意味ですが、具体的にはどのような過程を通じて、トラネキサム酸は効き目を発揮するのでしょうか。

私たちの体内には細菌やウィルスなどを排除するための免疫機能が備わっています。
外界から風邪の原因菌が体内に侵入し、喉に付着し身体に探知されると血液中からプラスミンといいう物質が、粘膜から浸透していきます。
喉周辺も粘膜に覆われているので、ウィルスや細菌が付着するとプラスミンが大量に生成されます。
プラスミンには炎症を引き起こすヒスタミンや、痛みの原因物質になるプロスタグランジンを発生させて炎症を引き起こすと同時に、血管を拡張させるため患部に腫れを生じ痛みを発生させます。

つまり、プラスミンは炎症や痛みの引き金になる側面を有しています。
このプラスミンの働きを抑えるのがトラネキサム酸です。
トラネキサム酸が体内に入るとプラスミンの活性を抑制するように作用する結果、ヒスタミンやプロスタグランジン等の作用も抑制され、喉の痛みや炎症を抑える効果をもたらします。
プラスミンが生成されると、ヒスタミンやプロスタグランジンが連鎖して生成されるため、喉に違和感や軽い痛みを自覚した段階で服用すると、症状が軽症のうちに快方に向かいます。
従って風邪の初期症状の段階で使用するのが、効果的な使い方といえます。

それではトラネキサム酸に副作用はないのでしょうか。
トラネキサム酸は安全性が高く深刻な副作用は少ないとされています。
ただしトラネキサム酸には止血作用も有しているため、服用に際して注意が必要な側面があります。

飲み合わせてはいけない医薬品とは?

トラネキサム酸が作用を抑制するプラスミンには、炎症などを引き起こすと同時に、繊維素を溶解する作用も持っています。
繊維素とは出血部位でかさぶたの原料になる成分です。
通常であればかさぶたや血栓を形成し出血を止めるはずが、プラスミンはこの作用を阻害するので、血栓の形成が阻害すます。
トラネキサム酸はこれらのプラスミンの作用を抑制するので、炎症を抑えるだけでなく血栓が溶かされ難くなり、出血が止まりやすくなる作用も発揮します。
このようにトラネキサム酸には止血作用が備わっているので、他の薬との飲み合わせを注意する必要があります。

トラネキサム酸が止血作用を発揮するのは、血栓を作り易くする機能を有しているためです。
過剰に血栓が出来てしまうと、脳や心臓の血管に血栓が詰まってしまい脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。
そこで止血剤については飲み合わせに注意が必要とされています。

そのような止血剤に属する薬として、ヘモコアグラーゼがあげられます。
ヘモコアグラーゼはヘビ毒に由来する有効成分をもつ止血剤です。
トラネキサム酸とヘモコアグラーゼを大量に服用することで、血栓が大量に生成されるリスクがあるため、飲み合わせに注意が必要です。
止血剤とは逆の作用を有する抗血栓薬との飲みあわせにも注意が必要です。
抗血栓薬の一種であるバトロキソビンは、トラネキサム酸とは真逆に作用し血栓を分解しやすく作用します。
ところがバトロキソビンを服用中に、トラネキサム酸を服用すると血栓が作られ易く作用するため、肺塞栓などの血栓塞栓症のリスクを高めると言われています。

特にバトロキソビンは突発性難聴に投与されることがよくあります。
トラネキサム酸服用中に、突発性難聴に見舞われたような場合には、併用リスク回避のため、その旨を医師に伝えるように注意してください。